ペットの遺体をきれいに保つ火葬までの保存方法・期間・注意点
大切な家族の一員であるペットとの別れは、心に深い悲しみをもたらします。しかし、最後のお別れのときまできれいな姿で送りだすためには、適切な準備と処置が必要です。
この記事では、ペットの遺体を綺麗に保つための保存方法や準備、注意点について解説します。
ペットが亡くなったときにまず行うべきこと
大切なペットとの別れはつらい経験ですが、最後のお別れまで丁寧にお世話をしてあげましょう。ここでは、ペットが亡くなった直後に行うべきことを解説します。
死亡の確認
ペットが動かなくなった場合、まずは冷静に死亡を確認する必要があります。
つらい作業ですが、深い眠りと死を見間違うことがあるため、深呼吸をしてゆっくりと確認を進めてください。
まずは、優しく名前を呼びかけながら、ペットの鼻や口に手を近づけて呼吸がないか確認します。そして、ペットの胸に手を当てて体温の低下や心臓の動きを感じ取ります。
最後に、ペットの目に光を当て、瞳孔が開いたままで反応がないか確認をしてください。
しかし、判断が難しいと感じた場合は、動物病院に連絡して獣医師に相談することをおすすめします。ペットの遺体の整え方や供養の仕方のアドバイス、飼い主の心のケアも含めてサポートしてくれるでしょう。
ご遺体の姿勢を整える
ペットの死亡確認ができたら、ご遺体の姿勢を整えてあげましょう。
多くの場合、死後1~2時間程度で死後硬直が始まります。死後硬直が始まる前に姿勢を整えることで、自然で安らかな姿で供養できます。
すでに死後硬直が進んでしまった場合でも焦らず、硬直が解けていくのを待ちましょう。個体差がありますが、12〜24時間ほどで硬直は徐々に解けていきます。
以下の手順でご遺体の姿勢を整えてあげましょう。
- ペットを柔らかいタオルや毛布の上に優しく寝かせる
- 手足を自然な状態で胸の方向に曲げる
- 頭を少し持ち上げる
- 目と口が開いている場合は、そっと閉じてあげる
- 毛並みを整える
無理に力を入れると、ペットの体が傷ついてしまう可能性があります。この作業は丁寧に、愛情を込めて行うことが大切です。
ご遺体の保存に必要なものを揃える
大切なペットをきれいな状態で火葬まで保存するために必要なものは、保冷剤、ペットシーツなどの吸水性の高い素材、ご遺体を包むタオル、清潔な棺や箱などです。
まずは、家にあるもので代用できるものがないかチェックし、足りないものをリストアップして、近くのホームセンターやペットショップで購入しましょう。
次の項目で必要なものについて詳しく解説します。
ペットのご遺体安置に必要なもの
ペットのご遺体を安らかな状態で保管するために、いくつか準備が必要となります。ここでは、丁寧に保存するために必要な6つのものについて解説します。
棺または箱
ペットの遺体を保管する棺または箱を用意します。
専用のペット用棺を購入するか、店頭で入手可能な段ボールを利用するのが一般的です。木製の箱や籐製のバスケットなど、自然素材の見た目の美しい容器を選ぶ選択肢もあります。
サイズは、ペットの体格よりも少し大きめのサイズを選びます。段ボールを使用する場合は、底面の強度を確保するために二重にすると良いでしょう。
棺や箱の内側にはペットシーツや新聞紙などの吸水性の高い素材を敷き詰め、外側は清潔なクロスを敷くと見た目も美しく仕上がります。
ペットシーツや新聞紙
ペットの遺体の下に敷くためのペットシーツや新聞紙を準備しましょう。
ペットの遺体から、時間の経過と同時に体液が出てくることがあるため、これらの吸水性の高い素材がペットの体と棺や箱を汚れから保護してくれます。
棺や箱の底にペットシーツや新聞紙を敷き、定期的に確認し取り換えながら、ペットの遺体を清潔に保ちましょう。
ガーゼやコットン
ペットの遺体を衛生的に保存するために、ガーゼやコットンを準備しましょう。
遺体の保管中にペットの体から、体液や排泄物が出てくるのは自然なことです。そういった場合に、ガーゼやコットンで体液や排泄物を優しく拭き取ってあげ、衛生的な状態を保ちましょう。
これらを放置してしまうと、においや雑菌の繁殖の原因となってしまいます。
タオル
タオルはペットの遺体を包むのに使用します。タオルで遺体を包むことで、ペットの遺体から出てくる体液を吸収し、清潔に保てます。
きつすぎないように、優しく包むと遺体への圧力を避けられます。タオルは定期的に交換し、清潔な状態をキープしましょう。
また、保冷剤をタオルで包むことで保冷効果を保ちやすくなり、傷みの進行を遅らせるのをサポートします。
保冷剤やドライアイス
ペットの遺体を清潔に保つためには、保冷剤かドライアイスで冷却する必要があります。温度を下げることで、細菌の増殖を抑制し、火葬までの期間を長く保つことが可能です。
保冷剤は、遺体の周囲に均等に配置し、4〜6時間ごとに交換します。
ドライアイスは凍傷や二酸化炭素中毒の危険があるため、使用時は換気を心がけ、直接触れないよう手袋を着用しましょう。小型犬や猫の場合、1日あたり3~5キログラムを目安に使用します。
2日程度の保管の場合は、保冷剤で問題ありませんが、夏場や3日以上保存する場合は、ドライアイスの使用がおすすめです。
ただし、子どもやほかにもペットがいる場合は、ドライアイスの使用は避け保冷剤をおすすめします。季節や状況に合わせて選択してください。
ビニール袋やビニールシート
ビニール袋かビニールシートを使用すると、棺や箱の保冷をサポートできます。
ビニールは水分や空気を通しにくい特性があるため、棺や箱の上に被せることで、保冷をサポートし、遺体の腐敗進行を防ぎます。
特に、日中、外出によって頻繁に保冷剤を交換できない場合や、夜間寝る間に被せることで、遺体の保持を長時間維持できるでしょう。
ペットの遺体をきれいに保つための手順
大切なペットとの最後の時間を美しくすごすためには、遺体をきれいに保存する必要があります。ここでは、ペットの遺体を火葬までの間、丁寧に保存するための手順を詳しく解説します。
体を綺麗にしてあげる
ペットの遺体をきれいに保つためには、濡れタオルを使用して体を丁寧にきれいにしてあげましょう。体をきれいにすることで、腐敗の進行を遅らせることができます。
手順は以下のとおりです。
- ぬるま湯を用意し、清潔なタオルを湿らせる
- 頭から順番に体全体を優しく拭く(特に口、鼻、耳周囲は丁寧に拭く)
- 毛並みを整える
- 清潔で乾いたタオルで全体を拭き、水分をとる
愛情を込めてゆっくりと行うと、心の整理にも繋がります。
箱や棺におさめ、保冷する
ペットの体をきれいにした後は、箱や棺におさめて冷やす必要があります。箱や棺に入れて冷やすことで、ペットの遺体を衛生的に保管することができます。
箱や棺へのおさめ方は以下のとおりです。
- ペットより少し大きめの箱や棺を用意する
- 底にペットシーツを敷く
- タオルに包んだペットの遺体をやさしく寝かせる
- タオルで包んだ保冷剤を頭や胸部、腹部の周囲に配置する
- 蓋をして、直射日光を避けた風通しの良い場所に置く
- 保冷剤は6時間ごとに交換し、箱の中の結露もこまめに拭きとる
火葬までの間、ペットを衛生的に、きれいな状態を保つことができます。
火葬までの保存期間
火葬までの保存期間をできるかぎり手元に置いておきたいと考える方もいるでしょう。しかし、季節や保存の仕方によってきれいな状態を保てる日数には限りがあります。
ここでは、季節ごとの保存期間と、より長く保存したい場合の方法について解説します。
夏場は1~2日、冬場は2~3日
ペットの遺体の保管期間は、一般的に、夏場は1~2日、冬場は2~3日の保存が目安とされています。
高温多湿の夏場は細菌の繁殖が早く、冬場は低温で腐敗の進行が遅くなるため、夏場に比べ長期間保存できます。
夏場は特に注意が必要です。エアコンを使用し、室温を20度以下に保つとともに、こまめな保冷剤の交換が必要です。
冬場でも暖房のついた室内では、腐敗が進んでしまうため、涼しい場所での保管を心がけましょう。
そして、定期的に腐敗がないか直接見て確認することも大切です。
4日以上保存したい場合はドライアイスを使用
ペットの遺体を4日以上保存する必要がある場合は、ドライアイスを使用しましょう。
ドライアイスは-78.5℃という低温で、保冷剤よりも長時間の冷却が可能です。ドライアイスを使用すれば、夏場で約4~5日間、冬場なら7日程度保存できます。
ただし、ドライアイスの使用にはいくつか注意点があります。以下の点に気を付けましょう。
- 凍傷の恐れがあるため、直接触れないようにする
- 二酸化炭素中毒の恐れがあるため、部屋の換気が必要
- 子どもやほかにもペットがの誤食や接触による事故に注意が必要
ドライアイスは特殊な商品のため、店舗では取り扱っていない場合があります。専門店やネット通販を利用して購入すると良いでしょう。1キログラムあたり500円〜1,000円程度で購入できます。
長期間保存する場合は冷凍保存を検討
やむを得ない事情で、ペットの遺体を長期間保存する必要があるときは、冷凍保存を検討しましょう。冷凍することで細菌の繁殖を抑え、きれいな状態を維持できます。
ハムスターや小鳥などの小型のペットの場合は、家庭用の冷蔵庫で保存することもできますが、衛生面や心理的な問題から、家族からの理解を得るのが難しいかもしれません。
ただし、長期間冷凍保管していると、霜が付いて遺体に負担がかかってしまうこともあるため、注意しましょう。
小型のペット以外の場合は、家庭での冷蔵は難しいため、葬儀までに時間がかかってしまいそうな場合は火葬業者に相談すると安心です。
ご遺体を安置するときの注意ポイント
大切なペットの遺体を安置するときには、正しい方法で安置する必要があります。ここでは、正しい安置をするための注意ポイントについて解説します。
風通しの良い冷暗所に安置する
ペットの遺体を安置する場所は、風通しが良く、涼しい暗所を選びましょう。
直射日光の当たらない、20度以下の冷暗所に安置することで、細菌の繁殖を抑え、臭いの発生を抑えられます。
また、空気の流れがある場所を選び、必要に応じて、扇風機を直接風が遺体に当たらないように使用してください。
そして、ほかのペットや小さな子どもの手の届かない場所を選ぶようにしましょう。
腐敗の兆候がないか確認する
ペットの遺体に腐敗の兆候がないか、定期的に確認しましょう。腐敗が進むと、悪臭や変色が発生してしまう場合があります。
異臭がしないか、体が膨らんでいないか、皮膚の色が変わっていないか、1日に2~3回確認します。夏場などは腐敗が早く進行するため、確認頻度を増やすのが望ましいです。
もし異常が見られた場合、すぐに火葬業者に相談しましょう。腐敗が進んでしまうと、火葬の際にご遺体の扱いが難しくなる可能性があります。
最後の時間をゆっくり過ごすために
ペットの最後の時間を大切にすごすことで、心の準備をすることができます。ここでは、ペットが安らかに旅立てるよう、最後の時間をゆっくり過ごすためにやることを解説します。
ペットが好きだったものをそばに置いてあげる
ペットの遺体のそばに、ペットが生前に好きだったものを置いてあげましょう。
生前に好んでいた、ごはんやおやつ、おもちゃや毛布を置いてあげると、ペットとの思い出を振り返ることができます。
ペットが愛していたものに囲まれて過ごすことで、心に残るお別れの時間を過ごせるでしょう。
思い出を振り返り心の準備を整える
大切なペットとの別れを受け入れるためには、ともに過ごした時間を振り返ることが大切です。
楽しかった思い出や感謝の気持ちを思い出すことで、悲しいだけでなく、ペットとの生活の素晴らしさを再確認できます。
思い出を振り返り、ペットとの絆を再確認することで、感謝の気持ちをもって最後の時間を過ごす心の準備ができます。
写真を見返したり、家族や友人とペットとの思い出話をしたりすると良いでしょう。
まとめ
ペットの遺体を火葬まできれいな状態で保存するためには、ペットの遺体を清潔に保ち、腐敗が進行しないように保冷をすることが大切です。
正しい対応と心の準備をすると、最後の時間を思い出に残るものにできるでしょう。
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